夜11時。
何の気なしにテレビをつけてみました。
「へえ～、最近はこんな時間にもワイドショーってやってるんや」
そこに映っていたのは、
センセーショナルな演出や、見てる人の感情を煽るようなナレーション。
こういう番組って、昔から変わらないんだなぁ…

と思ったら
・
・
・
Ｎ○Ｋのニュースでした…。
最近は見てもらうためなら、もう何でもアリって感じなんでしょうか。
だったらもういっそ民営化して、広告料取ったら？？
と思わず突っ込んでしまいました。

マスコミ筋から聞いたところによると、
今は放送メディアも広告料（収入）を稼ぐのが大変なようで、
どこもスポンサー獲得は熾烈を極めているそうです。

テレビやラジオのＣＭなんつったら大企業が使うようなもので、
まともにやると何百万、何千万もかかるもの。

そんなイメージですよね。

そんななか…
なんと「ワンコイン」でラジオＣＭが打てるなんて放送局があるそうです。
そして、何がすごいって、
その放送局、それによって１２年連続黒字を達成。

いったい何をしたんでしょう？

ラジオやテレビといったメディアでの広告といえば…？
そう、「高い」。

しょせん、お金持ってる大手の企業が使うもんでしょ
というのが世間の相場。
ところが、
ラジオのＣＭを、なんと500円にした放送局があります。

これは、本州西の端にある地元コミュニティラジオ局の話です。

放送局さんなので、収入源はやはり広告料。
ラジオＣМに広告予算を割けるような企業といえば、どうしたって大企業に限られてしまう。
まとまった予算が必要になるからです。
聞いたところによると、
ラジオＣМって、業界の相場では１５秒で３万円なんだそうです。

へぇ～…。
１回、１５秒流しただけで３万円ですか…。
効果が出るレベルで流そうと思ったら一体いくらになることか。

しかし、この放送局ではその２０分の１。
まぁ思い切った値引き合戦だこと、と思いきや…
・
・
・
この話、じつは大事なポイントがありまして、
それは、「順序」です。

なんのことかといいますと、

ラジオＣＭを思い切って500円にしてみたら大ウケして、
売れに売れて１２期連続黒字になった
・・・わけではないということです。

まず、「ターゲットを定めた」ということが最初にあります。
つまり初めから、中小企業や小規模の事業主をターゲットにしていた、ということです。
だからラジオＣМを「５００円」で販売した。
これがポイントです。

同じ１００万円の利益を出すにしても、
１０００万円の商品を売っていくのと
１０万円の商品を売っていくのとではやり方が全然ちがってきますが、
これは一概にどっちがいいかなんて言えないですよね。

たとえば、建築関係なら
高齢者ばかりの地域で「新築」を売っても
買ってくれるお客さんはたぶんいないと思います。
それよりは、水回りの部品の交換を何回もみたいな売り方になると思います。
こんなふうに、「誰に売るのか」で
同じ商売でも、売るものも売り方も変わってきます。

で、
この放送局が考えたのは、
まず、放送エリア内で多いのは誰かというと、
中小企業や小規模事業主さんが圧倒的に多い。
大きな企業もないわけではないが、地元に宣伝するような需要があるかというとそうでもない。
そして、仕事中にラジオを聴く人といえば、
地元の中小企業や小規模事業主さんだし、聴くのはだいたい地元ローカル局。
それに、身近なお店や、知り合いの会社、取引先さんなど、
よく知った人たちがＣМに流れたら親近感は格段に違うだろう。

だったら、その人たちに売れるものを考えよう、
ってことで
５００円のＣＭ、となったわけです。

このように、
ただ安く売るのとは違う、確固たる戦略がこの放送局にはありました。
それは、まず最初に「誰に売りますか」を明確に定めるということ。

でも、
だからって黒字になるかどうかはまた別の話になりますが…
そのあたりは、いずれまた。